探偵の思い出 葛飾区編

葛飾区は個人的には下町というイメージがあり、男はつらいよの舞台でもある柴又は、柴又参道商店街や帝釈天がありすごく雰囲気が良いところです。

調査現場でも食べ歩きしながら尾行したり帝釈天でお参りしている対象者と共にお参りしたこともありました。

柴又駅では、対象者を柴又駅改札でキャッチして自宅の割り出し調査をしたことがあり、その頃はまだ駅前に居酒屋が数店あってカモフラージュで居酒屋のテラス席でノンアルレモン炭酸を飲みながら張り込んだことがあります。

お店の人からすると、大人2人が居酒屋でノンアルレモン炭酸を頼んだかと思うと、いきなり居なくなる……ちょっと変な客だなと思われたかもしれません。
ですが、対象者のほうには、そういうことはまず気づかれません。

そんな葛飾区で思い出の調査があります。
それは、離婚調停中の旦那さん側からの依頼で、「子ども3人の親権を取りたいので、奥さんが親権者として相応しくない証拠を取ってほしい」という内容でした。

この調査はかなり難航して、2ヶ月ほど経ったころ奥さんの悪い部分が見当たらないことに気づきました。
そうです。親権者として相応しかったのです。

依頼者の旦那さんと弁護士をふまえてこれから進めるか会議したところ、奥さんは酒を飲むからその酒をどのくらいの量を飲んでいるか調べることで話がまとまりました。

そして、こちらが行った方法は、奥さんが資源ごみの日に瓶や缶を捨てた際、それをすべて回収するというものでした。
奥さんは実家にいたため、奥さんや家族、近所の目を盗みながら捨てる様子を撮影し、捨てたゴミを速やかに回収しました。
回収したゴミは、警察が下着泥棒を逮捕したときに盗んだ下着をきれいに並べるように、近所の月極め駐車場に並べて撮影。その後、速やかに資源ごみに戻す。
この作業を2週間にわたって行いました。

その後、弁護士の資料を見せていただいたところ弁護士の仕事は凄いなと思いました。
撮影した酒類のアルコール含有量を算出して、それを1週間の間に摂取した際に成人女性の適量とされる量を400%超えるという報告書を作成して裁判所に出しました。

それと同時に燃えるゴミの日にゴミを回収して情報を収集するという調査もしていました。
これは本当にキツくて、その頃夏場で生ゴミからウジが湧いていて、確認しないといけない書類らにウジが這っていて激臭なのです。
それは流石に近くの月極め駐車場じゃできないので一旦調査車両に積み込んで移動。
人気のない空き地に移動してゴミを広げて情報収集するのです。

僕は本当この手の仕事が大の苦手で嗚咽のせいで涙で何も見えませんでした。
その一方、相棒である先輩女性調査員は本当頼もしかったです。
この方は浮気調査でもゴミを漁ったりする方で、精液プラス陰毛付きのティッシュを素手で持つ程の強者で、涼しい顔してこちら側が優位に進む書類を漁っていました。

その甲斐があって裁判は依頼者側の優位に進み、親権は99%母親側がとるという裁判の判例を覆し、依頼者側は長男の親権を取ることができました。
残念ながら次男と長女は幼いという事もあり母親側につくことになりました。

この調査は始まりから判決まで2年かかり判決後に依頼者から感謝された時のことは未だ鮮明に覚えています。
激臭とウジが湧く中ゴミを漁った事がこの時報われました。

昔はよく調査の一環としてゴミを漁っていましたがここ最近は無くなりましたね。
探偵で泥臭い仕事の一つですね。

とまあ、こんな臭い思い出がある葛飾区ですが個人的に下町育ちということもあり落ち着く良い街です。
皆さんも機会があったら散歩してみてください。