探偵の思い出 練馬区編

練馬区は広く浮気調査の対象者や浮気相手の自宅があったりとよく行く地域になります。
今回は練馬区の思い出として浮気調査ではなく

結婚詐欺案件の実際にあったお話をさせていただきます。

2010年頃の話になりますが、依頼人女性は30歳代で婚約している男性は53歳。

依頼人は、男性から

お金を預けてくれれば最低2倍に増やせる。投資してくれればこれを元手に一軒家を購入して一緒に暮らそう」と言われ

それを信じて1,300万円を男性に渡しました。

数ヶ月すると音信不通になり男性の居場所も分からなくなり当所に相談されました。
話を聞くと依頼人が持っている情報から居場所を特定できそうでしたので調査を受任して素行も調べることになりました。

調査を開始するとすぐに練馬区某所にて一人暮らししている事がわかりました。(>▽<)/
自宅を張り込み調査を進めてみると、所有している車は3台。BMWX5(当時800万円くらい)とBMWX6(当時1,200万円くらい)BMW116i(当時300万円くらい)を乗り回し、昼間は複数の別の女性に会い、夜はBMWを貢いだ女性の自宅に泊まり歩く、といった見事な結婚詐欺師っぷりでした。

調査を進めていくと、身なりのよい太客(あえてこの言い方をさせていただきます)とは自宅に泊まったり旅行に出かけたりと体の関係をふまえた付き合いをして。身なりに貧しい細客には夜な夜な自宅にラブレターを投函するだけという徹底した管理内容でした。
ちなみに依頼人は身なりに貧しい太客でしたが泊まる場所はもっぱら健康ランドでした。
そう、リクライニングシートです。

当時私も若かったので

「こんなおっさんのどこがいいんだ。なんで全財産渡すことになるんだ?」

と思っていました。
が、調査を進めていくと交際している女性は6人。うち金銭を渡しているのは5人でした。

この6人も絶妙に管理されていて、6人が全員男性の虜になっている様子でした。
男性は

自称、Microsoft勤務で年収2,000万円、高級車を複数台所有していて字は達筆。気遣いができてとても優しい。

30代女性なら何がなんでも手放したくない物件です。

ですが、実際は無職。

年収2,000万円(詐欺)、高級車の名義は他人の持ち物で複数台使用。字は達筆。気遣いができてとても優しい。
と、こんな感じでした。

調査では、乗り回しているBMWの所有者も割り出し、結婚詐欺師の証拠もとれて、後はお金を回収するだけという段階に。と、ここで。新たな展開が!
この時期にたまたまテレビの制作会社が詐欺師をやっつける番組の素材を探していて、

調査料金を制作会社が半分出すので依頼人にテレビに出演欲しいと話があり、依頼人がその話をのみ、調査を進めることになったのです。

そして突撃当日。
こういった詐欺師は隙があれば蒸発してしまいますので、こちらで尾行を行い依頼人と弁護士、制作会社撮影チームは突撃のタイミングを待つことに。

尾行を行いそしてついに道端で突撃!男性は慌てた様子ではあったものの話に応じました。
初めは「当人同士の話だから関係ない」の一点張りで1時間程会話になりませんでしたが事の重大さに気づき話が進んでいくと他にも付き合っている女性がいる事やお金を借りている事を話し始めました。
結婚詐欺師とは認めないものの調査内容は認めて返済を約束させました。

後はどう返済するか話して終結、というところまできたのですが!
が!

ここで男性から

「最後に2人で話をさせてほしい」と言われ依頼人も承諾し応じる事に。

30分くらいでしょうか、話が終わったというので合流して返済はどう行っていくか聞くと、男性は、なんと!

「依頼者と結婚する事になったから今日のところはお引き取りください」と、言ってきたのです。

私も弁護士も制作会社も全員で「いや、それは無理あるでしょ」という無言の圧をかけました。
ところが依頼人は

「そういう事になりました。すいません」

「えーーーー!!いやいやいやいや!!」

こちらサイドは全員ありえない、となったのですが、 
依頼者は穏やかな笑顔で

「ありがとうございました」

そう言ったのです!

ありえない、ありえない、ありえない。
こちらサイドは全員で魂を込めて

「いやいやいやいや!嘘ですよそんなの!」

と口を揃えたのと同時に一旦依頼者と男性を引き剥がし依頼人を説得しました。

信じられないとは思いますが、結婚詐欺や恋愛詐欺関係の案件では、このパターンはよくある事なのです。
流石は結婚詐欺師。本当に口が上手く演技が上手です。

全員に説得され正気に戻ると弁護士主導のもと、借用書と誓約書を書かせて話は無事に終わり、1週間ほどで全額返金されこの案件は無事に終結しました。

返ってきたお金もどうやって用意したものか安易に想像がつき、依頼者のお金は戻ってきたものの他の被害が出たとは想像したくありません。
勿論警察には初めに被害届けは出してみたものの民事の事なので介入できないとの事です。

この様に昔は結婚詐欺や恋愛詐欺という言い方でしたが現在はいただき女子なんて言い方を変えて同じことは続いています。

いつになっても恋は盲目。恋愛に限らず詐欺師は世の中に意外と多く存在します。
皆様もお気をつけください!