千代田区は世帯数や人口は23区中1番少ないものの、大手町や霞ヶ関、国会議事堂があり日本の中心というイメージがあります。
探偵業でも千代田区はよく利用しますが、やはり1番利用するのは東京駅ではないでしょうか。
今回は過去に東京駅を利用した探偵の思い出をお話しさせていただきます。
企業関係の案件で2週間くらい同じ対象者をついて行ってた時の話です。
対象者は月曜日から金曜日まで千代田区で勤務するサラリーマンでした。
調査目的としては対象者に反社との付き合いや癒着がないか確認する調査で、接触人物が現れればその人物がどこの誰かを調べるといった調査でした。
2週間ほど調査した頃。
もう何日もついて行っているので行動パターンや帰宅時間も把握して日々こなすだけの状況に。
ところがある日、昼頃に勤務先からいつもの様に営業周りに出たと思ったら東京駅へ。
東京駅は路線も多く乗り換えでよく利用したり、駅構内で食事や買い物もできるターミナル駅です。
慌てる事もなくついて行くと
対象者はそのまま東海道新幹線の改札を通過。
普段よくあるケースでは、対象者が新幹線を利用する際はみどりの窓口や券売機で乗車券を購入します。
その際に覗き見して、同じ乗車券を買うのですがこの時は対象者が乗車券をすでに持っており新幹線改札を通過して行き先が分からないまま着いていくことになりました。
この日は3名で調査していましたので1名が新幹線改札入場券を3枚購入する役割。
その間2名は改札前で対象者の行き先を見る。
入場券を受け取り入場すると対象者は足早にのぞみに乗車したのでこちらも慌てて同乗しました!
この時、対象者がどこまでの乗車券を持っているか分からないので、とりあえず新大阪までの乗車券を車内で車掌さんから購入しました。
読みはハズレて、対象者は名古屋で降りました。
こればかりはしょうがない出費です。
対象者は新幹線改札を通過すると、今度はJR改札を通過して特急電車に乗車しました。
こちらはついて行くことがやっとでバッタバタです。
しかも特急なので乗車券を購入しなくてはなりません。
調査員同士で相談した結果とりあえず行き先が分からないので一駅先の岐阜駅まで購入することに…。
後輩調査員に切符購入係を任命して3人分の岐阜駅までの特急乗車券を車掌さんから購入してもらい、とりあえずは一安心…。
ところが対象者は岐阜で降りません!
こちらは次の停車駅である美濃太田までの特急券を再度車掌さんから購入しなくてはなりません。
同じ車掌さんがまわってくると「なんでまだ乗ってんだ?」的な目線でジロリ。
こちらはそんなことより行き先の特急券を購入しなくてはいけません。切符購入係は「美濃太田駅までの特急券をお願いします。」と伝えると、「えーっと…どこに行きたいんですか?」と半ギレでごもっともな返しが。
切符購入係は「分かりません」と答えるとさらにキレ気味に「行き先決まったら声かけてください!」と言われ特急券を購入できない雰囲気に。
こちらとしては次で降りられたらついていけない可能性があるので「じゃあ下呂駅までお願いします!」と頼むと「下呂駅で絶対降りるんですね!? いいんですね!?」と念を押され、切符購入係は覚悟を決めた顔で無言で頷き購入させていただきました。
睨みを効かせながら車掌さんは立ち去ると、私達は対象者に「下呂で降りるんだ。下呂で降りろー」と願いました。
特急に乗り換えてから1時間40分。厳しい戦いの末、対象者は下呂で降りました!
私達は「よっしゃー!!」と謎の大喜び。
対象者は下呂駅の改札を通過して駅から出ると、駅前に停車していたタクシーに乗車して発進しました。
こちらもすかさず後続のタクシーに乗車しました。
タクシーの運転手さんは75歳くらいのご高齢の運転手さんでした。
私は乗車とほぼ同時に「前の車追ってください!」と伝え、とりあえず発進してもらおうとしましたが、運転手さんは「行き先言ってもらわないと行けないよ〜」と言って発進してもらえません。運転手さんは続けて「お兄さんたちどっから来たの〜?観光〜?お仕事〜?温泉ならね〜…」とダラダラ話しだしたので、すかさず遮り、「行き先は前の車です!前の車追ってください!!お願いします!!」と伝えると渋々発進してくれました。
探偵と伝えても良かったのですが、状況的にとにかく早く発進してもらわないと見失ってしまう恐れがあったので、この時は探偵と伝えずとにかくついていってもらうことに。
すると運転手さんは、「どこいくんだろ〜な〜、こっちだったらあそこかな〜」と独り言を言ったかと思うと、
おもむろに無線を手に取り「〇〇ちゃーん、そのお客さんどこに行くってー?」と一言
こちらはびっくり仰天!!
運転手さんは前のタクシーに無線で行き先を聞き出したのです!
そう!ここは東京と違い下呂だったのを忘れていました!
下呂駅周辺のタクシーの数は多くなく、何十年もこの地域にいる運転手さんばかりでみんな顔見知りなのです!
運転手さんはこちらが探偵ということは知らされていませんので良かれと思ってやってくれたことだと思います。
対象者が乗車しているタクシー運転手さんから無線で返答がありました「なんで?」と。
その瞬間「その無線やめてください!」と無線のやり取りをやめてもらい、ついていきながら説明することに。
前のタクシーの客は悪いことをしていること、東京からついてきていること、探偵ということ。
全ての状況を20秒くらいで説明しました。
それを踏まえて運転手さんには「なんでもないごめんねー」と無線を返してもらいなんとか追い切ることができました。
さすがに対象者側の運転手さんはこちらには気づいている様でしたが上手くやり過ごし対象者にバレることはありませんでした。
訪問先が判明したところで安心しているとふと下呂に居ることに気づきました。
訪問先が割れたら調査解除の案件と前もって言われておりましたが、バタバタして考えが及んでいませんでした。
ふと我に戻り帰宅ルートを調べてみると、なんと東京まで5時間でした……。
この時点で私達の仕事は終わり。
下呂を楽しむことにしました! (>▽<)/
タクシーの運転手さんにこの辺で1番いい泉質の温泉を聞いたところ、下呂駅近くにある天然温泉「つるつるの湯 下呂温泉 みのり荘」(岐阜県下呂市幸田1550)をおすすめいただきました。
その足で温泉に向かい入ることに。
つるつるでとても良い泉質でなんだかんだ有名な下呂温泉を堪能できました。
調査もうまくいって下呂温泉も堪能できて良い日だったなーと思いながら特急と新幹線を乗り継ぎ帰ることに。
帰り道は5時間あるので私達調査員3名は飲みながら帰ることに。
共にお酒を飲みながら今日の話や過去の調査話をしながら帰りました。
東京駅に着いた頃には3名共出来上がっていましたが、明日も同じ調査が朝からあったのでさっくり挨拶して別れました。
東京都千代田区から始まり気づけば岐阜県にいるなんて事は探偵の仕事をしていると時折ある事です。
探偵はいつどこに行くか分からないし何が起こるか分からないので柔軟に対応することが大切です。
それと、どこに行ってもその土地やハプニングを楽しむことも大切だと思っています。
私はこの仕事が天職だと思いながら今日もどこかで調査しています。